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UGC広告とは?クリエイター投稿を広告素材に使う手順と比較検証

lit.link Boost編集部公開日: 2026-09-07読了目安: 約12分

「クリエイターに作ってもらった動画の反応がよかったので、そのまま広告として回したい」。ショート動画PRを実施した企業から、実施後に必ずと言ってよいほど出てくる相談です。一方で、そのまま配信してよいのか、追加で何を確認すべきか、通常のブランド広告素材と比べて本当に効率がよいのかを、社内で説明できないまま止まってしまうケースも多く見られます。

この記事は、クリエイターや利用者の投稿を広告素材として二次利用したい企業の担当者に向けて、必要な条件の固め方と、比較検証の設計方法を整理したものです。結論を先に書くと、重要なのは2点です。第一に、二次利用は「投稿を依頼する時点」で条件を決めておかないと、後から取り直す交渉になり、期間も費用も余計にかかること。第二に、UGC広告とブランド広告素材の比較は、素材以外の条件(配信面・期間・予算・ターゲット・遷移先)を揃えなければ、素材の差を測ったことにならないことです。

なお、この記事に登場する数値はすべて考え方を説明するための仮定の計算例であり、実際の料金や実績を示すものではありません。

UGC広告とは投稿された動画を広告素材として配信する手法

UGC広告(UGC動画広告)とは、企業やクリエイティブ制作会社が一から制作した広告ではなく、クリエイターや実際の利用者が制作した投稿を、広告素材として配信する手法の総称です。「UGC動画とは」という問いに対しては、ユーザー視点で撮影・編集された、投稿らしい見え方の動画、と説明するのが実務的です。

一般的なブランド広告素材と比べたときの違いは、主に次の点にあります。

観点 ブランド制作の広告素材 UGC広告・UGC風広告
制作主体 企業・制作会社 クリエイター・利用者
見え方 演出・トーンが統一されている 通常の投稿に近い縦型の見え方
訴求の視点 商品側からの機能・価値の説明 使った人の一人称の体験
制作の柔軟性 修正・差し替えを社内で管理しやすい 追加の撮り直しに交渉が必要
権利処理 制作契約の中で完結しやすい 投稿者ごとに個別の許諾が必要
素材の量産 1本あたりの制作コストが高くなりやすい 複数人へ同時発注し本数を確保しやすい

縦型動画の配信面(Reels、TikTok、YouTube Shorts、各種インフィード)が広告在庫として拡大したことで、縦型で撮られた素材をそのまま配信したいというニーズが増えている、という背景もあります。

素材の作り方は3通りあり、必要な許諾が異なる

「UGC広告」と一括りにされますが、素材の出どころによって手続きがまったく違います。ここを混ぜて社内提案すると、法務確認の段階で差し戻されやすくなります。

  1. 自然発生した投稿の二次利用:利用者が自発的に投稿した動画を、後から広告素材として使わせてもらう形です。もっとも許諾のハードルが高く、投稿者本人の連絡先確認から始まります
  2. 依頼したPR投稿の転用:クリエイターに依頼して投稿してもらった動画を、広告素材としても使う形です。依頼時に二次利用条件を含めておけば、追加交渉なしで進められます
  3. 広告用に発注したUGC風動画:最初から広告素材として使う前提で、投稿らしい見え方の動画を制作してもらう形です。SNSへの投稿を伴わず、素材納品のみとする場合もあります
実務でもっとも扱いやすいのは2番目です。投稿依頼と広告二次利用をひとつの契約にまとめておくと、反応がよかった素材をすぐ配信に回せます。逆に、依頼時に二次利用の話をしていないと、成果が出た後に交渉することになり、条件が不利になりやすくなります。

自然発生した投稿とPR投稿の違い、それぞれの表示義務については「UGCとは?CGMとの違いと企業マーケティングでの活用手順」(/business/articles/what-is-ugc)で整理しています。

二次利用の前に固めておく6つの条件

広告転用でトラブルになるのは、ほぼこの6項目のいずれかです。依頼書または契約書に明記しておくことをおすすめします。

条件 決めておく内容 曖昧にした場合に起きること
利用範囲 どの媒体・どの広告アカウントで配信するか 想定外の媒体で使われたと指摘される
利用期間 開始日と終了日、延長時の扱い 期間終了後も配信が続き、事後精算になる
編集の可否 尺の変更、字幕追加、ロゴ挿入、切り抜きの範囲 意図と違う編集をされたと申し立てられる
音源 商用利用可能な音源かどうか 配信中に権利者から申立てが入り停止する
出演者 本人以外の写り込み、家族・第三者の同意 肖像権をめぐる個別の対応が発生する
表示 広告としての表示、PR表記の扱い 表示要件を満たさないまま配信してしまう

音源は特に見落とされやすい項目です。プラットフォームが提供する楽曲ライブラリは、個人アカウントの通常投稿では使えても、広告として配信する場合には利用条件が異なることがあります。広告転用の可能性があるなら、依頼の段階で「商用利用可能な音源を使用すること」を条件に入れておくと、後から音を差し替える手戻りを避けられます。契約条項の具体的な書き方は「インフルエンサー契約における二次利用条項の決め方」(/business/articles/influencer-contract-secondary-use)で扱います。

二次利用の許諾を取っていても、広告として配信する以上は事業者の表示にあたります。景品表示法第5条第3号に基づく指定告示(2023年10月1日施行)を踏まえ、広告であることが一般消費者に分かる状態を保ってください。プラットフォームの広告フォーマットで配信する場合、広告ラベルは自動で付与されますが、投稿本文をそのまま流用する形式では、本文側のPR表記も残っているかを確認します。

投稿をそのまま配信できる仕組みを理解する

素材をダウンロードして自社の広告アカウントから配信する方法のほかに、クリエイターのアカウントから投稿された動画を、その投稿のまま広告として配信できる仕組みが各プラットフォームに用意されています。

  • Instagram:ブランドコンテンツ広告。クリエイターがタイアップ投稿ラベルを付けて投稿し、広告主に対して広告利用を許可すると、その投稿を広告として配信できます
  • TikTok:Spark Ads。クリエイターが発行する認証コードを広告主が受け取ることで、クリエイターのアカウント名義のまま投稿を広告配信できます

この方式の特徴は、投稿者のアカウント名が表示されたまま配信されることです。プロフィールへの遷移やフォロー、投稿へのコメントといった、通常の投稿と同じ反応が広告経由でも発生します。一方で、クリエイター側の設定と許可期間に依存するため、許可が切れると配信も止まります。許可期間の長さと延長方法は、依頼時に確認しておく項目です。

素材をダウンロードして自社アカウントから配信する方式は、配信の主導権を握りやすい代わりに、投稿としての反応(フォロー、コメント)は自社アカウントに向きます。どちらが適しているかは、目的が認知の広がりなのか、自社アカウントの育成なのかによって変わります。

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比較検証は「素材以外の条件を揃える」ことが成否を分ける

UGC素材とブランド制作素材のどちらが効率的かは、商材・訴求・配信面によって変わります。自社で確かめるには、素材以外の条件を揃えた比較設計が必要です。

揃えるべき条件は次の5つです。

  1. 配信面:同じプラットフォーム、同じ配置(Reelsのみ、フィードのみなど)に限定する
  2. 期間:同じ日から同じ日まで。曜日の偏りを避けるため、7日単位など週の区切りで揃える
  3. 予算:グループごとの日予算を同額にする。自動配分に任せると片方に寄る
  4. ターゲット:年齢・地域・興味関心の設定を同一にする。類似オーディエンスの元データも揃える
  5. 遷移先:同じランディングページ、同じ計測パラメータ構成にする

そのうえで、比較の単位は「素材1本ずつ」ではなく「素材の型ごとに複数本」にします。1本ずつの比較では、個別の動画の出来不出来が結果を左右してしまい、型の違いを測ったことになりません。

仮定の計算例で比較の読み方を確認する

以下は考え方を説明するための仮定の数値であり、実際の実績や料金ではありません。同じ配信面・同じ期間・同じ日予算で、素材の型だけを変えて配信した場合を想定します。

項目 素材A(ブランド制作) 素材B(UGC型)
消化金額 300,000円 300,000円
表示回数 1,000,000回 1,250,000回
CPM 300円 240円
クリック数 8,000回 8,750回
CTR 0.80% 0.70%
コンバージョン数 160件 140件
CPA 1,875円 2,143円

この仮定例では、素材BのほうがCPMは低い(同じ予算でより多く表示された)一方、CTRとCPAでは素材Aが上回っています。ここから読めるのは「素材Bは配信効率が高いが、クリック後の獲得までは素材Aに及ばなかった」という段階ごとの差であって、「UGC広告は効果が低い」といった一般化はできません。別の商材、別の遷移先では逆の結果になりえます。

指標は段階を分けて読む

ひとつの指標で優劣を決めると、上流と下流のどちらに差があったのかが分からなくなります。次の順で読むと、次の打ち手が決めやすくなります。

段階 指標 差が出たときに疑う場所
配信効率 CPM、インプレッション単価 冒頭2秒の作り、配置設定、入札
視聴の質 再生完了率、平均再生時間 尺、構成、離脱の発生位置
興味 CTR、プロフィール遷移 訴求内容、CTAの置き方
費用効率 CPV(1再生あたり費用) 素材の型と配信面の相性
獲得 CPA、CVR ランディングページ、価格、在庫

CPVを費用の指標として使う場合、広告配信のCPV(広告費÷再生数)と、クリエイターへの発注における再生数課金(CPV課金)とは別の概念である点に注意してください。前者は広告プラットフォームに支払う金額、後者はクリエイターへの発注費用です。発注側の再生数課金については「再生数課金とは?CPVの計算・保証範囲・契約前の確認点」(/business/articles/view-based-pricing)で詳しく扱っています。

よくある失敗は素材以外の要因が混ざること

比較検証がうまくいかない原因は、ほとんどが設計段階にあります。

  • 配信期間がずれている:片方だけセール期間やイベント期間に重なると、素材の差ではなく需要の差を測ることになります
  • 予算配分を自動最適化に任せている:初動で優位に立った側へ配信が寄り、もう一方が十分な表示回数に達しません
  • 遷移先が異なる:専用ランディングページと通常の商品ページを比べると、素材ではなくページの差が出ます
  • 素材の本数が偏っている:片方3本、もう片方1本では、当たり外れの影響が均等になりません
  • 判断が早すぎる:数日で結論を出すと、配信の学習期間中の数値で判断することになります
  • 掲載順の影響を無視している:同一アカウント内で先行配信した素材があると、後発の素材は既に接触済みのユーザーに当たります

lit.link Boost!では、再生数に応じた費用でクリエイターのショート動画PRを発注できます。複数のクリエイターへ同時に発注して素材の本数を確保したい場合の選択肢のひとつとして、検討いただけます。

まとめ

UGC広告は、クリエイターや利用者が制作した投稿を広告素材として配信する手法です。素材の出どころによって必要な許諾が異なり、実務では投稿依頼と二次利用条件をひとつの契約にまとめておく形がもっとも扱いやすくなります。利用範囲・期間・編集・音源・出演者・表示の6条件は、依頼の段階で固めてください。

ブランド制作素材との比較は、配信面・期間・予算・ターゲット・遷移先を揃えたうえで、素材の型ごとに複数本を用意して行います。指標はCPM、再生完了率、CTR、CPV、CPAと段階を分けて読み、差が出た段階から次の打ち手を決めます。素材の違い以外の要因が混ざっていないかを、結論を出す前に必ず確認してください。

次に読む記事として、UGCそのものの定義と権利処理は「UGCとは?CGMとの違いと企業マーケティングでの活用手順」(/business/articles/what-is-ugc)、SNS施策全体の費用の比べ方は「SNSプロモーションの費用を手法別に比較する」(/business/articles/sns-promotion-cost-comparison)をご覧ください。

参考

  • 消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/
  • Instagram ヘルプセンター「ブランドコンテンツについて」 https://help.instagram.com/116947042301556
  • Meta ビジネスヘルプセンター https://www.facebook.com/business/help
  • TikTok for Business ヘルプセンター https://ads.tiktok.com/help/
  • TikTok ヘルプセンター https://support.tiktok.com/ja/
  • Google 広告ヘルプ「動画キャンペーンの指標について」 https://support.google.com/google-ads/answer/2375431

よくある質問

UGC広告とは何ですか?

クリエイターや利用者が制作した投稿を、広告素材として配信する手法の総称です。自然発生した投稿の二次利用、依頼したPR投稿の転用、広告用に発注したUGC風動画の3通りがあり、それぞれ必要な許諾と表示が異なります。

クリエイターの投稿を勝手に広告に使えますか?

使えません。投稿が公開されていることと、企業が広告素材として使ってよいことは別の問題です。著作権・肖像権・音源の権利に加え、利用する媒体・期間・編集の可否について事前に許諾を取る必要があります。

投稿をそのまま広告として配信することはできますか?

Instagramのブランドコンテンツ広告やTikTokのSpark Adsのように、クリエイターのアカウントから投稿された動画を、その投稿のまま広告配信できる仕組みが各プラットフォームに用意されています。利用にはクリエイター側の許可設定が必要です。

UGC広告はブランド制作の広告より成果が出ますか?

一概には言えません。素材の違いだけで結果が変わったのか、配信面や期間、ターゲット設定の違いが影響したのかを切り分けないと判断できないためです。素材以外の条件を揃えた比較設計が前提になります。

比較検証ではどの指標を見ればよいですか?

配信効率をCPM、興味の度合いをCTRや再生完了率、獲得効率をCPAというように段階を分けて読みます。ひとつの指標だけで優劣を決めると、上流と下流のどちらに差があったのかが分からなくなります。

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