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アプリマーケティングの全体像|獲得・定着・計測の施策と指標

lit.link Boost編集部公開日: 2026-09-27読了目安: 約14分

アプリを公開したものの、インストール数が伸びない。広告を出すとインストールは増えるが、翌週にはほとんど使われていない。アプリの担当者が抱えるこうした悩みは、施策単体ではなく、アプリマーケティング全体の設計から見直すと原因を切り分けやすくなります。

この記事は、アプリのプロモーションを初めて任された方や、施策の全体像を社内で説明する必要がある企業の担当者に向けて書いています。先に結論を書くと、アプリマーケティングは「獲得」「定着」「計測」の3段階を一続きで設計することが出発点です。獲得施策には複数の種類があり、それぞれ費用の発生点と得意な役割が異なります。どれを選ぶかより先に、着地点となるストアページと、施策ごとの差を比べるための計測を整えておくことが、施策の判断を誤らない近道になります。

この記事では、主な獲得施策の比較、ストアページの整え方、オンボーディングと通知による定着、計測SDKとアトリビューションの考え方、CPI・リテンション・LTVの読み方までを整理します。インフルエンサーやクリエイターを起用した施策の詳細は、アプリのインフルエンサーPRで扱っています。

アプリマーケティングは「獲得・定着・計測」を一続きで設計する

アプリマーケティングとは、アプリを知ってもらい、インストールしてもらい、使い続けてもらうまでの一連の取り組みです。Webサイトの集客と比べると、ストアを経由する、インストールという手間がある、利用が端末の中で続く、という3つの点が異なります。

この違いから、施策は次の3段階に分けて考えると整理しやすくなります。

  • 獲得:アプリを知ってもらい、ストアページに来てもらい、インストールしてもらう
  • 定着:初回起動で価値を感じてもらい、2回目以降も使ってもらう
  • 計測:どの経路から来た人が、どれだけ使い続けたかを把握する

よくあるつまずきは、獲得だけを切り出して評価することです。インストール単価が安い施策でも、利用者が初日で離れていれば、アプリにとっての価値は小さくなります。逆に単価が高く見える施策でも、継続率が高ければ採算が合う場合があります。3段階を同じ表で見られるように設計しておくことが、アプリプロモーションの前提になります。

獲得・定着・計測の3つは、担当者や部署が分かれていることが少なくありません。施策を始める前に、同じ指標の定義(何をインストールと数えるか、何日目の継続を見るか)を関係者で揃えておくと、後から数字の読み方で揉めずに済みます。

獲得施策は5種類あり、費用の発生点と得意な役割が違う

アプリのユーザー獲得に使われる主な手段は、ASO、広告、リワード、クリエイター・インフルエンサー、広報(PR)の5種類です。それぞれの特徴を表にまとめます。

施策 主な中身 費用の発生点 得意な役割 注意点
ASO ストア内検索と掲載情報の改善 主に社内工数 ストア内で探している人の取りこぼしを減らす 効果が出るまでに時間がかかる
広告 SNS・検索・アプリ内広告など 表示・クリック・インストールなどに応じて発生 配信量を予算で調整しやすい 配信を止めると流入も止まりやすい
リワード 報酬と引き換えにインストールや行動を促す 達成した行動の件数に応じて発生 短期間で件数を積み上げやすい 継続率が他経路と異なる場合がある。規約の確認が必要
クリエイター・インフルエンサー 実際に使う様子を動画などで紹介してもらう 投稿・再生数・成果など契約による 使い方や使用感を具体的に伝える 広告であることの表示が必要。導線設計が欠かせない
広報(PR) プレスリリース、取材、イベントなど 主に社内工数・配信費 第三者の媒体による信頼の補強 掲載の有無や時期は確約できない

ASOは全施策の土台になる

ASO(App Store Optimization)は、アプリストア内での見つかりやすさと、ストアページを見た人がインストールする割合を高める取り組みです。アプリ名やサブタイトル、説明文、スクリーンショット、動画、評価とレビューなどが対象になります。検索順位の仕組みは各ストアが公式に考え方を公開しているため、まず公式の説明を確認するのが近道です。

広告は配信量を調整できるが、止めると流入も止まりやすい

SNS広告、検索広告、他アプリ内の広告などは、予算・入札・ターゲティングで配信量を調整できます。短期間で検証の件数を集めたいときに向いています。一方で、配信を止めると流入も止まりやすいため、広告だけに頼ると獲得費用が固定費のように積み上がります。ショート動画の広告面を検討する場合は、TikTok for Businessで広告とクリエイター施策の位置づけを整理しています。

リワードは件数を積み上げやすいが、別枠で評価する

リワード型は、ポイントなどの報酬と引き換えにインストールや特定の行動を促す手法です。件数は積み上げやすい一方で、報酬が目当ての利用者は、他の経路とは継続の仕方が異なる場合があります。他の経路と混ぜずに評価することが前提です。また、アプリストアの審査ガイドラインや広告配信先のポリシーには、報酬付きの誘導に関する制限が定められている場合があるため、実施前に最新の規約を確認してください。

クリエイター・インフルエンサーは「使っている様子」を伝える

ショート動画のクリエイターやインフルエンサーに、アプリを実際に使う様子を紹介してもらう手法です。ストアのスクリーンショットだけでは伝わりにくい操作感や使いどころを、第三者の語り口で見せられる点が特徴です。企業が依頼した投稿は広告にあたるため、PR表記などで広告であることを明示する必要があります。ショート動画施策全体の考え方はショート動画マーケティングの始め方、アプリ施策での訴求と導線の作り方はアプリのインフルエンサーPRで詳しく扱っています。

広報は信頼の補強として組み合わせる

プレスリリースや取材、イベントは、第三者の媒体に取り上げられることで信頼を補う役割があります。掲載の有無や時期は企業側で確約できないため、獲得件数の計画に直接組み込むより、他の施策の効き目を支える位置づけで考えるのが現実的です。

ストアページは全施策の着地点になる

どの獲得施策を選んでも、インストールの直前にはストアページを経由するのが通常です。広告やクリエイターの動画で興味を持っても、ストアページの説明が期待と食い違っていれば、インストールには至りません。

ストアページで確認したいのは次の点です。

  • アプリ名とサブタイトルで、何ができるアプリかが一目で分かるか
  • 最初の数枚のスクリーンショットで、主な使いどころが伝わるか
  • 動画やスクリーンショットの内容が、実際の初回体験と一致しているか
  • 直近のレビューに、未対応の不具合や分かりにくさの指摘が残っていないか

App Storeにはカスタムプロダクトページ、Google Playにはカスタムストアの掲載情報といった、流入元ごとに異なるストアページを用意できる機能があります。また、Google Playではストアの掲載情報のA/Bテストも案内されています。施策ごとに訴求を変える場合は、着地先のページも訴求に合わせると、動画で見た内容とストアページの印象を揃えやすくなります。機能の提供範囲や条件は変わることがあるため、各ストアの公式ヘルプで最新の仕様を確認してください。

定着はオンボーディングと通知の設計で差が出る

インストールされたあと、最初に起動したときの体験(オンボーディング)で、利用者がアプリの価値を感じられるかどうかが、その後の継続に影響します。

オンボーディングは「最初の成功体験」までの距離を短くする

初回起動で長い説明や多くの入力項目が続くと、価値を感じる前に離脱が起きやすくなります。アプリの中心となる操作を1つ決め、そこにたどり着くまでの手順をできるだけ短くするのが基本です。会員登録や権限の許可は、必要になる場面で理由を添えて求めると、利用者が判断しやすくなります。

通知は許可をもらう理由と頻度をセットで決める

プッシュ通知は、利用者をアプリに呼び戻す手段として使われます。ただし、通知の許可を求めるタイミングが早すぎたり、通知の頻度が多すぎたりすると、許可されない・オフにされる・アンインストールされる、といった反応につながる場合があります。何のために通知するのか(予約の前日連絡、新着の知らせなど)を明確にし、利用者にとって役立つ内容に絞ることが前提です。

定着の施策 目的 確認する指標の例
オンボーディング 初回起動で中心の操作まで到達してもらう 初回起動からの到達率、登録完了率
通知 必要な場面でアプリに戻ってもらう 通知の許可率、開封率、オフにした割合
アプリ内メッセージ 使い方や新機能を知らせる 表示後の機能利用率
レビュー依頼 満足した利用者に評価を書いてもらう 評価件数、評価の推移

計測は計測SDKとアトリビューションの考え方を先に揃える

アプリの計測は、Webサイトの計測と比べて仕組みが複雑です。施策を始める前に、次の3つの考え方を押さえておくと、施策ごとの比較がしやすくなります。

計測SDKでアプリ内の行動を記録する

計測SDKは、アプリに組み込んで起動・登録・購入などの行動を記録するための仕組みです。アプリ解析用のSDKや、広告の成果計測に使うSDKなどがあります。どの行動を「イベント」として記録するかを事前に決めておかないと、後から見たい数字が取れていないことになります。

アトリビューションは「どの経路から来たか」をひも付ける

アトリビューションとは、インストールや購入を、それを生んだ経路(どの広告・どの投稿・どのリンクか)にひも付ける考え方です。代表的な手段には、経路ごとに発行するトラッキングリンク、アプリ内の特定画面に直接遷移させるディープリンク、Google PlayのInstall Referrer APIのようにストアから流入元情報を受け取る仕組みがあります。

プライバシー保護の仕組みを前提にする

iOSでは、他社のアプリやWebサイトをまたいで利用者を追跡する場合に、App Tracking Transparencyによる許可が必要です。許可が得られない場合も含め、AppleはSKAdNetworkやAdAttributionKitといった、個人を特定しない形で広告の成果を集計する仕組みを提供しています。こうした仕組みでは、すべてのインストールを個別の経路に厳密にひも付けられるとは限りません。個別の数字の厳密さより、経路ごとの傾向を同じ条件で比べる姿勢で読むのが現実的です。

クリエイターの投稿やPR記事のように、リンクを経由せずに「見てから後でストアで検索した」流入は、トラッキングリンクだけでは捉えきれません。ストア内検索からのインストールや、アプリ名での検索数の変化もあわせて記録し、リンク経由の数字だけで施策の効果を判断しないようにします。

CPI・リテンション・LTVは同じ表で読む

アプリマーケティングで使われる主な指標を整理します。

指標 意味 計算の例 読むときの注意
インストール数 アプリが入れられた件数 期間内のインストール件数 取得元(ストア・計測ツール)で数字が異なる
CPI 1インストールあたりの費用 費用 ÷ インストール数 費用にどこまで含めるかを揃える
リテンション率 一定日数後も使っている人の割合 N日目に起動した人 ÷ インストールした人 見る日数(翌日・7日・30日など)を揃える
LTV 1人の利用者がもたらす価値の累計 期間内の売上 ÷ 利用者数 集計期間と売上の範囲を明記する
回収期間 獲得費用を利用者の売上で回収するまでの期間 CPI ÷ 1人あたりの月間売上 継続率の低下を織り込んで見る

ここで説明のための仮定の計算例を示します。実際の料金や実績を示すものではありません。広告経由のCPIが300円、クリエイター施策経由のCPIが600円だったとします。30日後のリテンション率が広告経由で10%、クリエイター施策経由で25%だった場合、「30日後も使っている人1人あたりの獲得費用」は、広告経由が300円÷0.10で3,000円、クリエイター施策経由が600円÷0.25で2,400円になります。CPIだけを見ると広告経由が有利に見えますが、継続まで含めると順序が入れ替わる場合がある、という例です。

再生数に応じて費用が発生する施策では、CPV(再生単価)の計算方法を使って入口の効率を確認し、そこからインストールやリテンションまでを同じ表に並べると比較しやすくなります。成果(インストールや購入)に応じて費用が発生する契約の考え方は、成果報酬型インフルエンサーPRで整理しています。

予算は小さく試し、継続率まで見てから広げる

アプリのユーザー獲得では、最初から大きな予算を1つの施策に投じるより、複数の施策を小さく試し、継続率まで見てから配分を決める進め方が扱いやすくなります。

  1. 準備:ストアページを点検し、計測SDK・イベント・トラッキングリンクを設定する
  2. 小規模な検証:広告とクリエイター施策など、性質の異なる施策を少額ずつ試す
  3. 継続の確認:インストール直後の数字だけで判断せず、7日後・30日後の継続率を待つ
  4. 配分の見直し:継続まで含めた獲得費用で比べ、次の予算配分を決める
  5. 改善の反映:離脱が多い段階(ストアページ・オンボーディングなど)を特定して直す

クリエイターのショート動画を少額から試す方法の一つとして、lit.link Boost!のように、案件条件を掲載して応募したクリエイターに再生数に応じた料金で発注する仕組みもあります。どの手段を使う場合も、依頼した投稿には広告であることの表示が必要で、計測の準備を先に済ませておくことが前提です。

まとめ

アプリマーケティングは、獲得・定着・計測の3段階を一続きで設計することが出発点です。獲得施策にはASO、広告、リワード、クリエイター・インフルエンサー、広報があり、費用の発生点と得意な役割が異なります。どの施策もストアページが着地点になるため、ストアページの点検と計測の準備を先に済ませておくと、施策ごとの差を比べやすくなります。

評価では、CPIだけでなくリテンションやLTVを同じ表に並べ、経路ごとに継続まで含めた獲得費用で比べます。プライバシー保護の仕組みにより、すべての流入を個別にひも付けられるとは限らないため、同じ条件での傾向比較を基本にします。

次に読む記事として、クリエイターを起用したアプリ施策の設計はアプリのインフルエンサーPR、ショート動画施策の全体像はショート動画マーケティングの始め方をご覧ください。

参考

  • Apple Developer「App Store search」 https://developer.apple.com/app-store/search/
  • Apple Developer「Creating Your Product Page」 https://developer.apple.com/app-store/product-page/
  • Apple Developer「AdAttributionKit」 https://developer.apple.com/documentation/adattributionkit
  • Apple Developer「App Store Review Guidelines」 https://developer.apple.com/app-store/review/guidelines/
  • Play Console ヘルプ「Google Play でアプリを見つけてもらいやすくする」 https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/4448378
  • Android Developers「Google Play Install Referrer」 https://developer.android.com/google/play/installreferrer
  • 消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/

よくある質問

アプリマーケティングとは何を指しますか。

アプリを知ってもらい、インストールしてもらい、使い続けてもらうまでの一連の取り組みを指します。広告やASOによる獲得だけでなく、初回体験や通知による定着、計測による改善までを含めて考えるのが実務的です。

アプリプロモーションは何から始めればよいですか。

最初にストアページと計測の準備を整えることをおすすめします。どの施策もストアページが着地点になり、計測がなければ施策ごとの差を比べられないためです。そのうえで、少額で試せる獲得施策から順に検証します。

CPIが安い施策ほど優れていると言えますか。

言い切れません。CPIはインストールまでの効率を示す指標で、その後に使い続けてもらえたかは表しません。リテンションや課金などの後段の指標と並べて、獲得経路ごとに比べる必要があります。

リワード広告でインストールを増やしても問題ありませんか。

報酬を目当てにした利用者は継続率が異なる場合があるため、他の経路と分けて評価します。また、各アプリストアのガイドラインや広告配信先のポリシーで、報酬付きの誘導に制限が設けられている場合があります。実施前に最新の規約を確認してください。

インフルエンサーやクリエイターへの依頼はどの段階で検討すべきですか。

ストアページと計測の準備ができ、アプリの使い方を動画で見せられる状態になってからが目安です。動画で作った期待と初回体験が食い違うと、インストール後の離脱につながるためです。依頼時は広告であることの表示が必要になります。

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