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口コミマーケティングとは?手法の種類とステマ規制との境界を解説

lit.link Boost編集部公開日: 2026-09-27読了目安: 約10分

「口コミを増やしたい」と社内で言われたものの、何をすれば口コミマーケティングになるのか、どこからがステマになるのかの線引きが分からない。そんな企業のマーケティング担当者に向けた記事です。

先に結論を書きます。口コミマーケティングは、消費者どうしのコミュニケーションが生まれやすい機会と環境を企業が設計する取り組みです。手法はレビュー、UGC、アンバサダー、インフルエンサー、紹介の5つに大きく分けられます。そして、企業が依頼したり対価を提供したりした口コミは広告であり、その旨を明示する必要があります。口コミマーケティングの設計は、この境界線を最初に引くところから始まります。

この記事では、口コミマーケティングの定義、5つの手法、ステマ規制との境界、効果測定、バズマーケティングとの違いを順に整理します。

口コミマーケティングは消費者間のコミュニケーションを活用する取り組み

口コミマーケティングは、消費者どうしのコミュニケーションをマーケティングに活用する取り組みの総称です。クチコミマーケティング、WOM(Word of Mouth)マーケティングとも呼ばれます。

業界団体の一般社団法人クチコミマーケティング協会(WOMJ)は、クチコミマーケティングを「消費者間コミュニケーションのマーケティング活用」と位置づけています。ここで大切なのは、口コミそのものは消費者が発信するものであり、企業が直接つくるものではないという点です。企業が設計できるのは、口コミが生まれるきっかけ、口コミが見つかりやすい場所、口コミを読んだ人が次の行動に移れる導線です。

口コミマーケティングの対象は「口コミの中身」ではなく「口コミが生まれ、見つかり、行動につながる環境」です。中身を企業が決めた時点で、それは口コミではなく広告として扱う必要があります。

企業が口コミに取り組む理由

商品を検討するとき、多くの人は企業の説明だけでなく、実際に使った人の感想も確認します。企業の発信とは異なる視点の情報があることで、検討中の人が判断しやすくなる、というのが口コミを重視する基本的な理由です。また、口コミには企業が気づいていなかった使い方や不満が含まれることがあり、商品改善のヒントにもなります。

口コミマーケティングの手法は5つに分けられる

口コミマーケティングの主な手法を、企業の関与の度合いとあわせて整理します。

手法 内容 企業の関与 PR表記の考え方
レビュー ECサイトや自社サイトに購入者が評価・感想を書く 投稿の場を用意し、依頼することがある 自発的なレビューは不要。特典を条件にした依頼や内容の指示があれば関与を前提に設計する
UGC 消費者がSNSなどに自発的に投稿する 投稿のきっかけ(ハッシュタグ・キャンペーン等)を設計する 自発的な投稿は不要。企業が依頼・対価提供した投稿は必要
アンバサダー ブランドを好きな顧客と継続的な関係を築き、発信してもらう 商品提供・情報提供・依頼を行う 企業が関与した投稿は必要
インフルエンサー 影響力のある発信者に依頼して投稿してもらう 依頼・報酬・投稿条件の指定 必要
紹介 既存顧客が知人に商品を勧める(紹介制度など) 紹介特典の設計 特典付きのSNS投稿は事業者の関与があるものとして、紹介制度の利用が分かる表記を案内する

表のとおり、企業の関与が強い手法ほど、PR表記が必要になる場面が増えます。自発的な口コミを促す手法と、依頼して発信してもらう手法を、社内で区別して管理しておくことが大切です。

自発的な口コミを促す手法

レビューとUGCは、消費者が自分の意思で発信する口コミを増やす手法です。企業は、購入後にレビューを依頼するメールを送る、投稿しやすいハッシュタグを案内する、商品の同梱物に使い方の工夫を入れるなど、発信のきっかけを用意します。UGCの定義や活用手順はUGCとは?企業マーケティングでの活用手順で詳しく扱っています。

依頼して発信してもらう手法

アンバサダーとインフルエンサーは、企業が特定の人に依頼して発信してもらう手法です。両者の違いは関係の継続性と選定の起点にあり、比較はアンバサダーマーケティングとインフルエンサー施策の違いで整理しています。インフルエンサー施策の進め方全体はインフルエンサーマーケティングの始め方を参照してください。ショート動画で依頼型の投稿を集める場合は、lit.link Boost!のように条件を掲載して応募したクリエイターを審査し発注する募集型のサービスも選択肢の一つです。

紹介制度は特典の設計と表記をセットで考える

既存顧客が知人に商品を勧める紹介制度は、口コミを直接の購入につなげやすい手法です。紹介した人とされた人の双方に特典を用意する設計がよく見られます。

注意したいのは、紹介がSNSなど不特定多数に向けた発信で行われる場合です。紹介特典を受け取る立場の人が、そのことを示さずに商品を勧める投稿をすると、見た人には一般の感想と区別がつきません。特典付きの紹介をSNSで行う場合は、紹介制度を利用していることが分かる表記を案内し、特典の条件に「高評価を書くこと」などの内容の指定を含めないようにします。

依頼・対価提供した口コミは広告であり、表示が必要

口コミマーケティングで最も注意が必要なのが、ステマ規制との境界です。2023年10月1日に施行されたステマ規制(景品表示法の指定告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」)では、事業者が表示内容の決定に関与した投稿は「事業者の表示」とされ、広告であることを一般消費者が分かるように示す必要があります。

口コミマーケティングに当てはめると、次のように整理できます。

  • 企業が依頼し、対価(金銭・商品の無償提供・特典など)を提供した投稿は、広告であることを明示する
  • 企業が投稿の内容(訴求点・評価・表現)を指示した場合も、関与があるものとして扱う
  • 消費者が自発的に投稿した口コミは、企業の表示には当たらない。ただし、投稿後に特典を与えて継続投稿を促すと関与と評価されうる
  • 自社の従業員や関係者が、関係性を示さずに一般消費者の口コミのように投稿するのは典型的な違反類型である
「口コミらしく見せたいのでPR表記は目立たないように」という依頼は、規制の趣旨に反します。PR表記は、投稿を見た人が広告であると容易に分かる位置と方法で示す必要があります。依頼文・契約書に表記の方法を具体的に書き、投稿後に確認する工程を設けてください。

業界ガイドラインもあわせて確認する

WOMJは、クチコミマーケティングにおける関係性の明示などについてまとめた「WOMJガイドライン」を公表しています。法令上の要件は消費者庁の運用基準で確認するのが基本ですが、業界ガイドラインには実務の判断に役立つ整理が含まれているため、あわせて読んでおくと社内ルールを作るときの参考になります。規制の要件と社内体制はステマ規制とは?企業が守るPR表記の要件で詳しく解説しています。

口コミマーケティングの効果は量・内容・自社側の変化で測る

口コミマーケティングの効果は、次の3つの観点に分けて測ると整理しやすくなります。

観点 主な指標 見るときの注意
量 投稿数、レビュー件数、ハッシュタグの投稿数 依頼した投稿と自発的な投稿を分けて数える
内容 言及されている点、評価の傾向、使用場面、不満点 件数だけでなく、何が語られているかを読む
自社側の変化 指名検索、サイト流入、紹介経由の購入、問い合わせ 同時期の他の施策や季節要因と並べて記録する

口コミの量が増えても、内容が商品の本来の価値と異なる点に集中していれば、狙った効果にはつながりません。反対に、件数は少なくても、検討中の人が知りたい点(使用感・サイズ感・使い方)が具体的に語られていれば、検討の後押しとして意味を持ちます。

口コミの内容を商品やコミュニケーションの改善に活かす方法はUGCから顧客インサイトを読み取る方法で扱っています。

数値の読み方の注意

口コミが増えた時期に売上や検索数が伸びたとしても、それがすべて口コミの効果とは限りません。同時期の広告、メディア露出、季節要因、価格の変更でも数字は動きます。「口コミが増えた期間にこう変化した」という記述にとどめ、他の要因を併記して記録するのが妥当です。

バズマーケティングは口コミの広がり方の一つ

バズマーケティングは、短期間に話題を集中させ、一気に広げることを狙う手法を指すことが多い言葉です。「バズ(buzz)」は、ざわめき・うわさ話を意味します。

観点 口コミマーケティング バズマーケティング
期間 継続的に口コミが生まれる状態をつくる 短期間での話題化を狙う
目的 検討時に参照される情報の蓄積、信頼の形成 認知の急拡大、話題性の獲得
設計の対象 投稿のきっかけ、見つかる場所、行動への導線 話題になる企画・タイミング・初速
注意点 成果が出るまで時間がかかる 話題が一過性で終わりやすい。意図しない形で広がることがある

バズは口コミマーケティングの中の一つの現れ方と捉えると整理しやすくなります。一度話題になっても、その後に検討中の人が参照できる口コミやレビューが蓄積されていなければ、関心は購入につながりにくくなります。反対に、口コミが継続的に生まれる状態ができていれば、話題化したときの受け皿になります。

なお、話題化を狙って企業が関与した投稿を一般の反応のように見せることは、口コミマーケティングでもバズマーケティングでも許されません。仕掛けとして依頼した投稿には、広告であることの明示が必要です。

口コミマーケティングを始める手順

最後に、口コミマーケティングを始めるときの手順を整理します。

  1. 現状の把握:自社商品について、どこで、どんな口コミが、どれくらいあるかを確認する
  2. 目的の設定:検討時に参照される情報を増やしたいのか、認知を広げたいのか、商品改善のヒントを得たいのかを決める
  3. 手法の選択:目的に合わせて、自発的な口コミを促す手法と、依頼して発信してもらう手法を選ぶ
  4. 表記ルールの整備:依頼・対価提供する場合のPR表記の方法を決め、依頼文と契約書に反映する
  5. 測定と振り返り:量・内容・自社側の変化を定期的に記録し、手法と内容を見直す

まとめ

口コミマーケティングは、消費者どうしのコミュニケーションが生まれ、見つかり、行動につながる環境を企業が設計する取り組みです。手法はレビュー、UGC、アンバサダー、インフルエンサー、紹介の5つに分けられ、企業の関与が強い手法ほどPR表記が必要な場面が増えます。

企業が依頼したり対価を提供したりした口コミは広告であり、明示が必要です。バズマーケティングは口コミの広がり方の一つで、継続的な口コミの蓄積があってこそ話題化が購入につながります。効果は量・内容・自社側の変化の3つで測り、前後比較を因果効果と断定しないことが大切です。

参考

  • 消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/
  • 消費者庁「景品表示法」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/
  • 一般社団法人クチコミマーケティング協会 https://womj.jp/
  • 一般社団法人クチコミマーケティング協会「WOMJガイドライン」 https://womj.jp/guideline
  • Google Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンスレポート」 https://support.google.com/webmasters/answer/7576553

よくある質問

口コミマーケティングとは何ですか?

消費者どうしのコミュニケーションをマーケティングに活用する取り組みの総称です。商品のレビュー、SNSでの感想投稿、知人への紹介など、消費者が発信する情報が他の消費者の検討に影響することを前提に、それが生まれやすい環境や機会を企業が設計します。クチコミマーケティングやWOM(Word of Mouth)マーケティングとも呼ばれます。

口コミマーケティングとバズマーケティングの違いは何ですか?

バズマーケティングは、短期間に話題を集中させて一気に広げることを狙う手法を指すことが多い言葉です。口コミマーケティングは、継続的に口コミが生まれ蓄積される状態をつくることまで含む、より広い概念です。バズは口コミマーケティングの中の一つの現れ方と捉えると整理しやすくなります。

企業が依頼した口コミはステマになりますか?

企業が依頼したり対価を提供したりして投稿された口コミは、広告であることを明示する必要があります。明示しないまま一般の消費者の感想のように見せると、2023年10月施行のステマ規制に抵触するおそれがあります。明示した場合も、内容の誇大表示や各媒体の規約(特典と引き換えのレビューを禁じる媒体もあります)は別に確認します。対価は金銭に限らず、商品の無償提供や特典も含めて考えます。

レビューを書いてくれた人に特典を渡してもよいですか?

特典を条件にレビューを依頼すると、評価の内容を指定しなくても事業者の表示と評価されうるため、広告であることの明示が必要になります。また、Googleマップのクチコミのように、投稿と引き換えの特典提供そのものを規約で禁止している媒体もあります。特典を付けるかどうかは、掲載先の規約と消費者庁の運用基準を確認してから決めてください。

口コミマーケティングの効果はどう測ればよいですか?

口コミの量(投稿数・レビュー件数)、口コミの内容(言及されている点・評価の傾向)、自社側の変化(指名検索・サイト流入・紹介経由の購入)の3つに分けて見ます。口コミが増えた時期に売上が伸びても、他の施策や季節要因の影響もあるため、因果関係と断定せず並べて記録することが大切です。

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