インフルエンサーの探し方5ルート|選び方と候補リストの作り方
インフルエンサーマーケティングに取り組むとき、最初に詰まるのが「そもそも誰に頼めばいいのか分からない」という段階です。フォロワー数の多いアカウントは目に付くものの、自社商品に合うのか、費用に見合うのか、判断材料がないまま候補が増えていきます。
この記事では、インフルエンサーの探し方を5つのルートに整理し、見つけた候補をどの基準で評価するか、候補リストをどう作るか、募集をかける場合に何を書くか、声をかける直前に何を確認するかを、実務の順番どおりに解説します。対象は、これから自社でインフルエンサーを選定する企業のマーケティング担当者です。
先に結論を書くと、探し方そのものより「探す前に条件を決めること」と「フォロワー数以外の指標で並べ替えること」のほうが成果を左右します。フォロワー数は候補を集める入口にはなりますが、選ぶ基準としては情報量が足りません。
探し始める前に3つの条件を決める
検索を始める前に、次の3点を文字にしておきます。ここが曖昧なまま探すと、候補は集まるのに選べない状態になります。
1. 目的と成果の見方:認知を広げたいのか、購入・登録につなげたいのか、自社SNSや広告で使える素材が欲しいのか。目的によって、見るべき指標も適した規模も変わります。認知重視なら再生数とリーチ、購買重視ならプロフィール遷移やリンククリック、素材確保なら制作クオリティと二次利用の可否が主軸になります。
2. 届けたい相手:年齢層、性別、居住エリア、関心テーマ、購買のきっかけ。この解像度が、後述する「属性適合」の評価に直結します。
3. 予算と本数の配分:総額をひとりに集中させるのか、複数人に分散させるのか。分散させる場合は、1本あたりの上限額と本数を先に決めておくと、候補の絞り込みが機械的に進みます。
探し方は5つのルートに整理できる
候補の集め方は、大きく5つのルートに分かれます。ひとつのルートだけで完結させず、2〜3ルートを併用すると偏りが減ります。
ルート1:ハッシュタグ・音源・キーワードで検索する
もっとも手数が少ない方法です。Instagramではハッシュタグ検索とキーワード検索、TikTokではキーワード検索に加えて「その音源を使った動画」からたどる方法が使えます。商品カテゴリ名だけでなく、使用シーン・悩み・シチュエーションを表す言葉でも検索するのが要点です。たとえば化粧品なら「スキンケア」だけでなく「乾燥肌」「朝スキンケア」のように、ユーザーが自分の状態を表現するときの言葉で探すと、フォロワー数は小さくても濃い層に届いているアカウントが見つかります。
TikTokで伸びている音源からたどると、直近で反応を取れている作り手を見つけやすいという利点もあります。ただし流行音源は商用利用の可否が別問題になるため、実際の依頼時には楽曲の扱いを別途確認してください。
ルート2:類似アカウント・おすすめからたどる
有力な候補をひとり見つけたら、そのプロフィールから開ける「おすすめ」「関連アカウント」をたどります。同じジャンル・同じ視聴者層のアカウントが並ぶため、1件の当たりから10件以上の候補に広げられます。フォロー関係やコメント欄で頻繁にやり取りしているアカウントも、同じ層に届いている可能性が高い候補です。
ルート3:募集型プラットフォームで応募を集める
企業側が案件条件を掲載し、クリエイターから応募してもらう方法です。探す工数を仕組みに置き換えられるため、複数人を同時に起用したい場合に向きます。応募文や過去実績が最初から揃った状態で比較できる点も利点です。一方で、応募が集まるかどうかは条件次第であり、待ち時間が発生します。プラットフォームの比較はインフルエンサー発注プラットフォーム比較解説を参照してください。
ルート4:事務所・キャスティング会社に相談する
条件を伝えて候補を出してもらう方法です。人選の工数はほぼゼロになりますが、費用に仲介の取り分が乗ります。起用したい人が決まっている場合は所属事務所、決まっていない場合はキャスティング会社が窓口になります。依頼先の類型ごとの違いはインフルエンサー事務所とは?依頼先4類型の違いと依頼の流れを解説で整理しています。
ルート5:既存顧客・UGC投稿者から探す
すでに自社商品について投稿しているユーザーを探す方法です。ブランド名・商品名・関連ハッシュタグで検索し、自発的に投稿している人を洗い出します。商品理解があり、熱量も高いため、依頼後の投稿が自然になりやすいという特徴があります。フォロワー数が小さいことが多い代わりに、承諾率は高くなる傾向があります。まずは商品提供から関係を作る進め方はギフティングの始め方|有償・無償の違いと注意点で解説しています。
候補は8つの基準で評価する
集めた候補は、フォロワー数順ではなく次の8基準で評価します。すべてを満点で満たす候補はまず存在しないため、目的に応じて重みを変えて使ってください。
| 評価基準 | 見るところ | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 属性適合 | フォロワーの年齢層・性別・地域・関心 | 届けたい相手と重なるか。ズレているなら他が良くても外す |
| 再生数の中央値 | 直近10〜20本の再生数 | 平均ではなく中央値。1本のバズに引っ張られた平均は当てにならない |
| エンゲージの質 | 保存・シェア・コメントの中身 | 「いいね」より保存とシェア。コメントが感想か定型文か |
| PR案件の経験 | 過去のタイアップ投稿 | PR投稿でも通常投稿と反応が大きく落ちないか |
| 投稿頻度と継続性 | 直近3か月の投稿間隔 | 更新が止まっていないか。極端な波がないか |
| コメント欄の健全性 | 返信の姿勢、荒れの有無 | 批判への対応が丁寧か。過去の炎上履歴がないか |
| フォロワーの実在性 | 増加曲線、反応比率、言語圏 | 階段状の急増、反応の極端な少なさがないか |
| 表現の適合 | 過去投稿の言葉づかい・NG表現 | 自社ブランドの基準と衝突する表現がないか |
なぜフォロワー数だけで選ばないのか
理由は3つあります。第一に、フォロワー数と実際に見られる回数は一致しません。ショート動画はフォロワー外にも配信されるため、フォロワーが少なくても再生が伸びる投稿があり、逆にフォロワーが多くても直近の再生が伸びていないアカウントもあります。第二に、フォロワー数は増減の履歴が見えず、実在性の判断材料になりません。第三に、フォロワー数が大きいほど単価も上がるため、同じ予算で確保できる本数が減ります。規模別の使い分けはマイクロ・ナノインフルエンサーとは?メガとの違いと使い分けで詳しく扱っています。
フォロワー購入の兆候をどう見るか
外形から断定することはできませんが、次の兆候が複数重なる場合は慎重に判断します。フォロワー数に対して再生数・コメント数が極端に少ない、フォロワーの増加が短期間に階段状で跳ねている、コメントが海外アカウントの定型文や絵文字だけで構成されている、フォロワーの主要言語圏が想定ターゲットと大きく異なる、といった点です。判断に迷う場合は、少額の1本から試して実測値を確認するほうが確実です。
候補リストはスプレッドシートで管理する
候補が10件を超えると、記憶と画面のスクロールでは管理できなくなります。次の列構成でスプレッドシートを作ると、比較と社内共有の両方に使えます。
| 列名 | 入力内容 |
|---|---|
| アカウント名/URL | 各SNSのプロフィールURL |
| 主要SNS | Instagram/TikTok/YouTube など |
| フォロワー数 | 取得日を併記する |
| 直近再生数の中央値 | 直近10本を目視で拾い中央値を入力 |
| 主要テーマ | 発信ジャンルを3語以内で |
| 属性適合メモ | 想定ターゲットとの重なり |
| PR実績 | 有/無、直近のジャンル |
| 競合案件 | 有/無、時期 |
| 懸念点 | 炎上履歴、表現面の注意など |
| 依頼窓口 | 本人DM/事務所/プラットフォーム |
| 優先度 | A/B/C |
| ステータス | 未着手/打診中/返信あり/確定/見送り |
| 担当・最終更新日 | 社内の担当者と日付 |
優先度は、先に決めた目的の重みに従って付けます。認知が目的なら再生数の中央値、購買が目的なら属性適合とエンゲージの質を優先します。
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資料・無料相談はこちら →募集をかける場合は条件を具体的に書く
自分で探すのではなく、募集を出して応募を集める場合、募集文の具体性がそのまま応募の質になります。次の項目を明記してください。
- 商品・サービスの概要と、伝えてほしいポイント(3つ以内)
- 依頼する投稿の内容・本数・動画尺・投稿先SNS
- 公開希望時期と、初稿提出の期限
- 報酬の条件(固定費か、再生数課金(CPV課金)か、成果報酬(CPA型)か、併用か)と支払い時期
- PR表記を必須とすること、および使用する表記方法
- 応募条件(フォロワー規模、ジャンル、過去投稿の傾向)
- 二次利用の希望範囲(自社SNS転載、広告配信、LP掲載など)と期間
- NG表現・NG商材(競合、医薬品的な効能表現など)
報酬の条件を「応相談」とだけ書くと、単価感の合わない応募が集まり、選考の工数が増えます。レンジでよいので数字を書くほうが、結果的に早く進みます。
声をかける前に4点を確認する
候補が絞れたら、連絡する直前に次の4点を確認します。ここを飛ばすと、契約後の差し替えという最もコストの高い手戻りが発生します。
- 競合案件の履歴:直近で競合ブランドのPRを受けていないか。受けている場合、期間の制限がある可能性があります。
- 過去投稿の表現:自社のブランド基準や業界の広告表現ルールと衝突する投稿がないか。特に食品・化粧品・医薬部外品は表現規制の影響を受けます。
- 依頼窓口:プロフィールに「お仕事のご依頼は事務所へ」といった記載がないか。記載がある場合、個別DMは避けます。
- PR投稿時の反応:過去のタイアップ投稿で、通常投稿と比べて反応が大きく落ちていないか。
確認が済んだら、依頼文を送ります。返信率を上げるDMの書き方と例文はインフルエンサーへのDM依頼のやり方と例文テンプレートで解説しています。
なお、探す・選ぶ・交渉するという一連の工数を抑えたい場合は、募集型のプラットフォームを使う方法もあります。lit.link Boost!では、企業が条件を掲載し、応募したショート動画クリエイターへ再生数に応じた費用でPRを発注できます。
まとめ
インフルエンサーの探し方は、ハッシュタグ・音源・キーワード検索、類似アカウント、募集型プラットフォーム、事務所・代理店、既存顧客やUGC投稿者という5ルートに整理できます。ルートを2〜3組み合わせて候補を集め、属性適合・再生数の中央値・エンゲージの質など8つの基準で評価し、取得日入りのスプレッドシートで並べ替えるのが実務の流れです。
フォロワー数は候補を集める入口としては有効ですが、選ぶ基準としては情報が不足しています。直近の再生数の中央値と、コメント欄の中身まで見たうえで判断してください。
次に読む記事としては、規模ごとの使い分けを知りたい方はマイクロ・ナノインフルエンサーとは?メガとの違いと使い分けを、実際に連絡する文面を作りたい方はインフルエンサーへのDM依頼のやり方と例文テンプレートをご覧ください。
参考
- 消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(ステルスマーケティングの規制)https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/
- 消費者庁「景品表示法」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/
- Instagram ヘルプセンター「ブランドコンテンツについて」https://help.instagram.com/116947042301556
- Instagram ヘルプセンター「インサイトについて」https://help.instagram.com/1533933820244654
- TikTok ヘルプセンター「ブランドコンテンツの開示」https://support.tiktok.com/ja/using-tiktok/creating-videos/disclosing-branded-content
- 総務省「情報通信白書」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/
よくある質問
インフルエンサーはインスタでどう探せばよいですか?
ハッシュタグ検索、キーワード検索、リール・発見タブ、そして候補アカウントのプロフィールから開ける「おすすめ」表示の4つを組み合わせるのが基本です。商品カテゴリ名だけでなく、使用シーンや悩みを表す言葉(たとえば「乾燥肌 スキンケア」など)でも検索すると、フォロワー数は小さくても濃い層に届いているアカウントが見つかりやすくなります。
フォロワー数はどれくらいを目安に選べばよいですか?
目的によって変わるため、一律の目安はありません。広く認知を取りたい場合は規模の大きい層、購買や信頼形成を重視する場合はマイクロ・ナノ層が候補になります。いずれの場合も、フォロワー数より直近10〜20本の投稿の再生数・エンゲージメントの安定度を見るほうが、成果の見通しは立てやすくなります。
フォロワーを購入しているアカウントは見分けられますか?
断定はできませんが、兆候はあります。フォロワー数に対して極端に反応が少ない、短期間にフォロワーが階段状に急増している、コメントが海外アカウントの定型文や絵文字ばかり、フォロワーの言語圏が想定ターゲットと大きく異なる、といった点が確認材料になります。複数の兆候が重なる場合は慎重に判断してください。
インフルエンサーを募集する場合、募集文には何を書けばよいですか?
商品・サービス概要、依頼する投稿の内容と本数、投稿先SNS、公開希望時期、報酬の条件(固定費か再生数課金かなど)、PR表記の必須化、応募条件(フォロワー規模やジャンル)、二次利用の希望範囲を明記します。条件が具体的なほど、意図に合わない応募が減り、選考の工数が下がります。
声をかける前に必ず確認しておくことは何ですか?
過去にPR案件を受けているか、競合ブランドの案件を直近で受けていないか、過去投稿に自社ブランドの方針と衝突する表現がないか、依頼窓口が本人か事務所か、の4点です。特に競合案件と炎上履歴の確認は、契約後の差し替えコストが大きいため先に済ませてください。
この記事は「インフルエンサーマーケティングとは?始め方・費用・効果測定」の関連記事です。
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