SNS集客で来店促進するには|店舗向けの媒体設計と計測
飲食店や美容サロン、小売店、体験施設などの実店舗にとって、SNS集客の目的は「知ってもらうこと」ではなく「来てもらうこと」です。再生数やフォロワーが増えても、商圏外の人ばかりに届いていたり、店の場所や予約方法が伝わっていなかったりすると、来店促進にはつながりません。
この記事は、実店舗のSNS集客を担当する方や、店舗を持つ企業のマーケティング担当者向けです。結論を先に書くと、来店までの流れを「見つける→決める→行く」に分け、媒体ごとに役割を持たせることが出発点です。そのうえで、ショート動画では地域・メニュー・体験の3つで来店理由を作り、来店計測は複数の手段を組み合わせます。
この記事では、媒体の役割分担、業態ごとの来店理由の作り方、地域のクリエイターを起用するときの条件、来店の計測方法、PR表記とクチコミの注意点を扱います。
来店を増やすSNS集客は「見つける・決める・行く」で考える
店舗の場合、SNSで興味を持った人が実際に来店するまでには、距離と時間という制約があります。オンラインの購入と違い、「今度行ってみよう」と思ってから実際に足を運ぶまでに時間が空くことも多く、その間に店名や場所を忘れられてしまうこともあります。
そこで、来店までの流れを3つの段階に分けて考えます。
- 見つける:店の存在を知る。動画や投稿で、どこにある何の店かが伝わる
- 決める:行くかどうかを判断する。メニュー、価格、雰囲気、口コミ、予約の空きを確認する
- 行く:場所を調べて向かう。道順、営業時間、予約方法、混雑を確認する
SNSのショート動画が得意なのは「見つける」段階です。一方で「決める」「行く」段階では、Googleマップでの検索や予約ページ、店舗のアカウントのプロフィールが見られます。どこか1つの段階が欠けていると、動画が多く見られても来店に結びつきません。
媒体は役割で分担する
媒体ごとに得意な段階が異なります。すべての媒体に同じ内容を投稿するのではなく、役割を決めて使い分けます。来店促進に限らない手法の全体像や目的別のKPIはSNSマーケティングとは?主な手法と始め方で整理しています。
| 媒体 | 主な役割 | 向く情報 | 来店計測の手がかり |
|---|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィール | 決める・行く | 営業時間、場所、写真、メニュー、予約・問い合わせ先 | ルート検索、通話、ウェブサイトのクリック、予約などのパフォーマンス |
| 見つける・決める | 店内の雰囲気、メニューの写真、リール、ストーリーズでの告知 | プロフィールのリンクのクリック、投稿の保存 | |
| TikTok | 見つける | 体験の流れ、調理や施術の工程、店の個性を伝える短い動画 | 動画経由の検索、コメントでの質問 |
| LINE公式アカウント | 再来店 | 友だちへのお知らせ、クーポン、予約の案内 | クーポンの利用、配信後の予約 |
| 自社サイト・予約ページ | 決める・行く | 詳しいメニュー、料金、アクセス、予約フォーム | 予約完了数、参照元別の流入 |
Googleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップで店名や「地域名+業種」で探したときに表示される店舗の情報です。ショート動画で店を知った人が店名で検索したとき、ここに営業時間や写真、予約先が正しく載っていることが、来店の手前の段階を支えます。動画を出す前に、情報が最新になっているかを確認しておきます。
業態ごとに「来店理由」の作り方が違う
同じショート動画でも、業態によって来店のきっかけになる要素は異なります。
| 業態 | 来店理由になりやすい要素 | 動画で見せる場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 飲食店 | 看板メニュー、価格、席の雰囲気 | 料理が出てくる瞬間、店内の様子、注文の流れ | 食品の健康効果を断定する表現は避ける |
| 美容サロン | 仕上がりの雰囲気、担当者の人柄、予約のしやすさ | カウンセリングから仕上げまでの流れ | 仕上がりには個人差がある。使用する製品の効能を断定しない |
| 小売店 | 品ぞろえ、店でしか見られない物、選ぶ楽しさ | 棚の様子、商品の選び方、スタッフのおすすめ | 在庫や価格は変わるため、時点を明記する |
| 施設(レジャー・体験) | 体験の内容、所要時間、誰と行けるか | 入場から体験終了までの流れ | 混雑時間や予約の要否を伝える |
飲食の商品をショート動画でどう見せるかは食品・D2Cのショート動画PRの記事、美容サロンで使う化粧品やヘアケア製品に触れる場合の表現の注意はコスメのインフルエンサーPRの記事も参考にしてください。
ショート動画で来店理由を作る3つの設計
地域:どこにある店かを最初に伝える
来店を目的にした動画では、冒頭か早い段階で「どこの、何の店か」を伝えます。駅名やエリア名を字幕やキャプションに入れ、最寄り駅からの道順や目印となる建物を短く見せると、行く段階の不安を減らせます。営業時間や定休日は変わる可能性があるため、動画内ではなくキャプションやプロフィールに書き、更新できるようにしておきます。
メニュー:見せる物を1つに絞る
1本の動画で多くのメニューを紹介すると、何を目当てに行けばよいかが伝わりにくくなります。看板メニューや定番の施術を1つに絞り、価格とあわせて見せます。期間限定のメニューを紹介する場合は、提供期間を明記し、終了後に動画が見られても誤解が生じないようにします。
体験:来店してから帰るまでの流れを見せる
初めての店では、入り方、注文や受付の方法、支払いの方法が分からないことが来店のためらいになります。入店から退店までの流れを短く見せ、予約が必要か、どこから予約できるかを伝えます。動画の最後は、店名で検索できるように正式な店名を字幕で示すと、「決める」段階への橋渡しになります。
地域のクリエイターを起用するときの条件
店舗の来店促進では、フォロワー数の多さより、商圏内の視聴者にどの程度届いているかが重要です。依頼する前に、次の条件を確認し、依頼内容に書き込んでおきます。
- 視聴者の地域:各媒体のインサイトで見られる視聴者の地域の内訳を提出してもらう
- 実体験:クリエイター本人が来店し、実際に体験したうえで投稿してもらう
- 撮影の範囲:撮影してよい場所、他のお客様やスタッフが映り込まない配慮、撮影日時
- 費用負担:飲食代や施術代を店舗が負担するか、交通費をどうするか
- 伝えてほしいこと:店名の正式な表記、場所、看板メニュー、予約方法
- PR表記:媒体のブランドコンテンツ機能と本文での表記の方法
候補の探し方や選び方はインフルエンサーの探し方の記事で整理しています。企業が案件条件を掲載して応募したクリエイターを審査する募集型のサービスもあり、lit.link Boost!もその選択肢の一つです。募集型の場合は、案件条件に地域の条件や来店の要否を明記しておくと、条件に合う応募者を選びやすくなります。
来店計測は複数の手段を組み合わせる
SNSを見て来店した人を、1つの方法で正確に数えることはできません。複数の手段を組み合わせ、それぞれの取りこぼしを前提に推移を見ます。
| 計測手段 | 取れるもの | 限界 |
|---|---|---|
| 投稿者ごとのクーポンコード | どの投稿を見た人が来店したか | クーポンを使わない来店客は数えられない |
| 予約リンクのパラメータ | 予約ページへの流入と予約完了の参照元 | 電話予約や予約なしの来店は含まれない |
| 予約時・会計時の質問 | 何を見て知ったか | 回答は記憶に頼るため、あいまいになりやすい |
| 店舗名の指名検索 | 店名を検索した人の推移 | 検索の理由までは分からない |
| Googleビジネスプロフィールのパフォーマンス | プロフィールの閲覧数、ルート検索、通話、ウェブサイトのクリック | オーナー確認済みのプロフィールでのみ利用でき、SNSとの関係は直接は分からない |
店舗名の指名検索は、自社サイトがあればSearch Consoleで、店名を含むクエリの推移を確認できます。調べ方と比較期間の決め方は指名検索の調べ方の記事で扱っています。Googleビジネスプロフィールのパフォーマンスは、ヘルプによると、閲覧数はユニークユーザーを1日1回として数え、検索語句の指標は月初に更新されます。日単位の細かい比較より、月単位の推移で見るのが適しています。
仮定の計算例:クーポンと予約経路を並べて読む
以下は説明のための仮定の計算例です。実際の実績ではなく、読み取り方を示すためのものです。地域のクリエイター3名がそれぞれ投稿し、投稿後28日間の数値を並べた場合です。
| 投稿者 | 動画の再生数 | クーポン利用 | 予約リンク経由の予約 |
|---|---|---|---|
| A | 50,000 | 12 | 8 |
| B | 15,000 | 18 | 14 |
| C | 30,000 | 4 | 3 |
再生数はAが最も多い一方で、クーポン利用と予約はBが多くなっています。Bの視聴者に商圏内の人が多かった可能性や、動画で予約方法が分かりやすく伝わっていた可能性が考えられます。次の依頼では、Bの動画の構成や視聴者の地域を確認し、条件に反映します。ただし、クーポンを使わずに来店した人はこの表に含まれないため、店舗名の検索やGoogleビジネスプロフィールの推移もあわせて見ます。
PR表記とクチコミの扱いに注意する
店舗が飲食代や施術代を負担してクリエイターに投稿を依頼する場合、その投稿は事業者の表示になります。2023年10月1日施行のステマ規制(景品表示法の指定告示)では、事業者が表示内容の決定に関与した投稿は、広告であることが分かるように表示する必要があります。Instagramのブランドコンテンツ機能やTikTokのコンテンツ開示の設定と、本文の冒頭などでの表記を合わせて使うことを条件にしておきます。表記の方法はタイアップ投稿のラベル設定の記事で整理しています。
まとめ
実店舗のSNS集客では、来店までの流れを「見つける・決める・行く」に分け、ショート動画は「見つける」、Googleビジネスプロフィールや予約ページは「決める・行く」、LINE公式アカウントは再来店というように、媒体に役割を持たせます。動画では地域・メニュー・体験の3つで来店理由を作り、最後に店名で検索できる状態につなげます。
地域のクリエイターを起用するときは、商圏内の視聴者の割合と実体験を条件にし、PR表記の方法を明記します。来店計測はクーポン、予約経路、来店時の質問、指名検索、Googleビジネスプロフィールを組み合わせ、それぞれの取りこぼしを前提に推移を比べましょう。
参考
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールのパフォーマンスとインサイトを確認する」 https://support.google.com/business/answer/9918094
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「禁止または制限されているコンテンツ」 https://support.google.com/business/answer/7400114
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント」 https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/
- 消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/
- Instagramヘルプセンター「ブランドコンテンツについて」 https://help.instagram.com/116947042301556
- TikTok ヘルプセンター「ブランドコンテンツの開示」 https://support.tiktok.com/ja/using-tiktok/creating-videos/disclosing-branded-content
- Google アナリティクス ヘルプ「URL 生成ツール: カスタム URL でキャンペーン データを収集する」 https://support.google.com/analytics/answer/10917952
よくある質問
店舗のSNS集客はどの媒体から始めればよいですか?
来店直前に見られやすいGoogleビジネスプロフィールの情報を先に整え、そのうえで店内やメニューを見せるInstagramやTikTok、再来店を促すLINE公式アカウントを役割で組み合わせるのが基本です。すべてを同時に始めるより、店舗で運用を続けられる範囲から選びます。
地域のクリエイターに依頼するとき、何を条件にすればよいですか?
視聴者の地域の内訳、来店して実際に体験してもらうこと、撮影の可否と範囲、飲食代などの費用負担、PR表記の方法を条件として明記します。フォロワー数より、商圏内の視聴者がどの程度いるかを確認することが重要です。
SNS経由の来店数はどうやって測りますか?
1つの方法では測りきれないため、投稿者ごとのクーポンコード、予約リンクのパラメータ、予約時の「何を見て知ったか」の質問、店舗名の指名検索、Googleビジネスプロフィールのパフォーマンスを組み合わせます。それぞれ取りこぼしがある前提で推移を見ます。
来店したお客様にGoogleのクチコミを書いてもらう代わりに割引をしてもよいですか?
Googleのポリシーでは、クチコミの投稿と引き換えに金銭や割引、無料の商品やサービスなどのインセンティブを提供することが禁止されています。クチコミをお願いすること自体は、インセンティブを付けず、内容に影響を与えない形であれば可能です。
招待して無料で体験してもらった投稿にもPR表記は必要ですか?
事業者が商品やサービスを無償で提供し、投稿の内容の決定に関与している場合は、広告であることが分かる表示が必要です。媒体のブランドコンテンツ機能と、本文の冒頭などへのPR表記を合わせて使うことを条件にしておきます。
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