UGCツールの比較ポイント|機能の種類別に選び方と運用を整理
UGCを活用したいと考えてツールを探し始めると、収集、許諾、掲載、広告、分析と、製品ごとに打ち出している機能がまちまちで、何を基準に比べればよいのか分からなくなる。UGCツールを検討している企業のマーケティング担当者や、EC・ブランドサイトの運用担当者から聞かれることの多い悩みです。
この記事は、UGCツールの導入を検討している方に向けて、製品名ではなく「機能の種類」で整理したものです。先に結論を書くと、UGCツールは大きく、収集・モニタリング、権利許諾の取得管理、EC・LP掲載、広告クリエイティブ化、分析の5種類の機能に分かれます。比べる前に、自社がどの作業に困っているのか、UGCをどこで使いたいのかを決めておくと、必要な機能が絞れます。また、ツールの多くはすでにある投稿を扱うためのもので、投稿が生まれるきっかけそのものは別に用意する必要があります。
この記事では、機能の種類ごとの比較表、目的から機能を選ぶ考え方、選定チェックリスト、導入前に決めておく運用、ツールでは解決しない領域を順に整理します。特定の製品の優劣は扱いません。
UGCツールは「何を効率化するか」で5種類に分かれる
UGCツールと呼ばれる製品は、UGCを扱う一連の作業のうち、どこを支援するかで分けると理解しやすくなります。UGCを扱う作業は、おおむね次の流れで進みます。
- 自社の商品やブランドに関する投稿を見つける(収集・モニタリング)
- 使いたい投稿の投稿者に許諾を依頼し、記録する(権利許諾の取得管理)
- 自社のECサイトやLPに掲載する(EC・LP掲載)
- 広告の素材として使う(広告クリエイティブ化)
- 掲載や配信の効果を確かめる(分析)
1つの製品がこの流れの全体を扱う場合もあれば、一部の機能に特化している場合もあります。社内ですでに使っているSNS管理ツールやECのレビュー機能で、一部の作業がまかなえていることもあります。まず「どの作業を効率化したいか」を決め、足りない機能だけを探すと、重複した投資を避けやすくなります。UGCという言葉の定義や、自然発生の投稿と依頼した投稿の違いはUGCとはで整理しています。
機能の種類別に比較する
5種類の機能を、主な中身と向いている場面、確認したい点で比較します。
| 機能の種類 | 主な中身 | 向いている場面 | 確認したい点 |
|---|---|---|---|
| 収集・モニタリング | ハッシュタグやキーワードで投稿を集め、一覧で確認する | 投稿がある程度生まれていて、探す手間を減らしたい | 対応媒体、取得できる投稿の範囲、更新の頻度 |
| 権利許諾の取得管理 | 投稿者への許諾依頼、同意の記録、期限の管理 | 投稿を自社の媒体で使う件数が多い | 許諾文面の編集、記録の保存と出力、期限の通知 |
| EC・LP掲載 | 許諾を得た投稿を商品ページやLPに表示する | 商品ページで使用シーンを見せたい | 表示の形式、ページ速度への影響、掲載の停止方法 |
| 広告クリエイティブ化 | 投稿を広告素材として整理・加工・配信先へ連携する | 投稿を広告として配信したい | 許諾範囲との照合、素材の管理、配信先との連携 |
| 分析 | 掲載や投稿の反応、購入への関与を集計する | 使い方の改善や社内報告に数字が必要 | 指標の定義、計測方法、他の解析ツールとの整合 |
収集・モニタリングは「どこまで取れるか」を確認する
収集・モニタリングの機能は、指定したハッシュタグやキーワード、アカウントのメンションなどをもとに投稿を集めます。確認したいのは、どの媒体に対応しているか、どの範囲の投稿を取得できるかです。各SNSが外部に提供しているデータの範囲には制約があり、媒体の仕様変更によって取得できる範囲が変わることもあります。製品の説明だけで判断せず、自社の商品名で試験的に収集してみると、実際に集まる投稿の量と質を確かめられます。
権利許諾の取得管理は「記録が残るか」を重視する
投稿を自社の媒体で使うには、投稿者の許諾が必要です。許諾の管理機能は、投稿者への依頼、同意の取得、同意内容と期限の記録をまとめて扱います。確認したいのは、許諾の文面を自社の条件に合わせて編集できるか、同意した日時や内容を後から出力できるか、期限が近づいたときに知らせる仕組みがあるかです。
EC・LP掲載は「止め方」まで確認する
EC・LP掲載の機能は、許諾を得た投稿を商品ページやLPに埋め込んで表示します。表示の見た目に目が行きがちですが、ページの表示速度への影響と、投稿者から削除を求められたときにすぐ非表示にできるかも確認します。自社サイトに掲載した時点で、その掲載は企業の表示になる点も前提にします。
広告クリエイティブ化は「許諾範囲との照合」が要になる
広告クリエイティブ化の機能は、投稿を広告素材として整理し、加工や配信先への連携を支援します。広告としての利用は、掲載よりも許諾の範囲が広くなりやすい用途です。許諾を得た範囲(媒体・期間・編集の可否)と、実際の配信内容を照合できるかが重要です。媒体によっては、クリエイターのアカウントから投稿された動画をそのまま広告として配信する仕組みも用意されており、その場合はクリエイター側の許可設定も必要になります。投稿を広告として使う手順や比較検証の考え方はUGC広告の手順と比較検証で扱っています。
分析は「指標の定義」を揃えてから使う
分析の機能は、掲載した投稿の閲覧やクリック、購入への関与などを集計します。製品ごとに「関与」や「貢献」の数え方が異なる場合があるため、指標の定義を確認し、社内で使っているアクセス解析の数字と並べたときにどう違うのかを把握しておきます。投稿の内容から利用者の関心や不満を読み取る使い方はUGCから顧客インサイトを読み取る方法で整理しています。
目的から必要な機能を逆算する
機能の種類が分かったら、自社の目的から必要な機能を逆算します。目的が複数ある場合は、最初に取り組むものを1つ決めると、選定の基準がぶれにくくなります。
| 目的 | 優先したい機能 | あわせて検討する機能 |
|---|---|---|
| 商品ページで使用シーンを見せたい | EC・LP掲載、権利許諾の取得管理 | 収集・モニタリング |
| 投稿を広告素材として使いたい | 広告クリエイティブ化、権利許諾の取得管理 | 分析 |
| 利用者の声を商品改善に生かしたい | 収集・モニタリング、分析 | ― |
| 投稿の効果を社内に報告したい | 分析 | 収集・モニタリング |
| 投稿そのものを増やしたい | ツールの機能だけでは解決しにくい | 投稿が生まれるきっかけ作りを別に設計する |
選定チェックリストで比較項目を揃える
複数の製品を比べるときは、同じ項目で情報を集めます。営業資料の説明だけで判断せず、試用や実際の画面での確認を組み合わせると、導入後の想定違いを減らせます。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 対応媒体 | 自社がUGCを集めたい媒体に対応しているか。取得できる投稿の範囲はどこまでか |
| 許諾の記録 | 許諾の文面を編集できるか。同意の日時・内容・期限を記録し、出力できるか |
| 投稿の区別 | 自然発生の投稿と依頼した投稿を、タグや項目で分けて管理できるか |
| 掲載と停止 | 掲載先への表示方法、ページ速度への影響、個別の投稿をすぐ非表示にできるか |
| 広告との連携 | 許諾範囲と配信内容を照合できるか。配信先へどう連携するか |
| 分析の定義 | 指標の定義が明示されているか。自社のアクセス解析と比較できるか |
| 権限管理 | 担当者ごとに操作できる範囲を分けられるか。操作の履歴が残るか |
| データの出力 | 投稿・許諾・分析のデータを出力できるか。解約時に持ち出せるか |
| 個人情報の扱い | 投稿者の情報をどこに保存し、どう管理するかが説明されているか |
| 費用の構造 | 月額か従量か。掲載数や投稿数、利用者数で費用が変わるか |
| サポート | 導入時の設定支援、媒体の仕様変更時の対応方針 |
プラットフォームやツールを選ぶときの共通の考え方は、インフルエンサープラットフォームの選び方でも整理しています。
導入前に決める運用:許諾範囲・掲載期間・削除依頼
ツールを導入しても、どこまで使ってよいか、いつまで使うか、削除を求められたらどうするかは、企業側で決める必要があります。導入前に次の3点を文書にしておくと、運用が属人化しにくくなります。
許諾範囲:どこで、どのように使うか
許諾を依頼するときに、利用する媒体(自社サイト、EC、SNS、広告、店頭など)、編集の可否(切り抜き、字幕の追加、尺の変更など)、投稿者名の表示方法を決めておきます。範囲を広く取りすぎると投稿者が同意しにくくなり、狭すぎると使い道が限られます。用途ごとに許諾文面を分ける方法もあります。二次利用の条件の決め方はインフルエンサー契約と二次利用が参考になります。
掲載期間:いつまで使うか
許諾には期間を定め、期限が来たら掲載を終えるか、更新の許諾を依頼するかを決めておきます。商品のリニューアルや価格の変更があった場合、古い投稿が現在の商品と食い違うこともあるため、期限とは別に、内容を見直すタイミングも決めておきます。
削除依頼への対応:誰が、どれくらいの時間で止めるか
投稿者から掲載の取りやめを求められたときに、誰が受け付け、どの範囲(サイト、広告、店頭の制作物など)から、どれくらいの時間で取り下げるかを決めておきます。ツール上で非表示にできても、広告の配信や印刷物には別の手順が必要な場合があります。
ツールでは解決しない領域を分けて設計する
UGCツールは、すでにある投稿を見つけ、許諾を得て、使い、効果を確かめる作業を効率化します。一方で、次のような領域はツールだけでは解決しにくいため、別に設計する必要があります。
- 投稿が生まれるきっかけ作り:同梱物や購入後のメールでの案内、レビューの依頼、キャンペーンの設計など
- 投稿の質を左右する体験:商品そのものの満足度、使い方の分かりやすさ、届くまでの体験
- 依頼による投稿の制作:クリエイターやインフルエンサーへの依頼、投稿条件とPR表記の取り決め
- 社内の判断:どの投稿を使うか、許諾範囲をどう定めるか、問題が起きたときに誰が判断するか
投稿がまだ少ない段階では、ツールを入れても集める対象が足りず、効果を確かめにくくなります。その場合は、先にクリエイターPRなどで投稿のきっかけを作り、投稿が生まれる状態になってからツールの導入を検討する順番もあります。クリエイターPRの手段の一つとして、lit.link Boost!のように、案件条件を掲載して応募したショート動画クリエイターを審査して発注し、投稿前の確認から再生数の報告までをプラットフォーム上で進める仕組みもあります。依頼した投稿は自然発生のUGCとは別に管理し、PR表記を前提に扱います。
導入は小さく始めて運用に合わせて広げる
UGCツールは、最初からすべての機能を使おうとすると、運用のルール作りが追いつかないことがあります。次の順番で小さく始めると、自社に必要な機能を見極めやすくなります。
- 目的を1つに決める:商品ページでの掲載、広告素材化、利用者の声の把握などから選ぶ
- 対象を絞る:特定の商品やブランドに限定して試す
- 運用ルールを先に決める:許諾範囲、掲載期間、削除依頼への対応を文書にする
- 試用で確かめる:自社の商品名で収集し、許諾の依頼から掲載までを一通り試す
- 効果を確かめて広げる:数字と運用の手間を見てから、対象や機能を広げる
まとめ
UGCツールは、収集・モニタリング、権利許諾の取得管理、EC・LP掲載、広告クリエイティブ化、分析の5種類の機能に分けて比べると選びやすくなります。比べる前に、自社がどの作業に困っているのか、UGCをどこで使いたいのかを決め、目的から必要な機能を逆算します。
導入前には、許諾範囲・掲載期間・削除依頼への対応を文書にし、自然発生の投稿と依頼した投稿を分けて管理できるようにしておきます。また、投稿が生まれるきっかけ作りはツールでは解決しにくいため、別に設計することが前提です。
次に読む記事として、UGCの基本はUGCとは、投稿を広告素材として使う手順はUGC広告の手順と比較検証をご覧ください。
参考
- 消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/
- 文化庁「著作権」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/
- 個人情報保護委員会「個人情報保護法等」 https://www.ppc.go.jp/personalinfo/
- Instagramヘルプセンター「ブランドコンテンツについて」 https://help.instagram.com/116947042301556
- TikTok for Business ヘルプセンター「About Spark Ads」 https://ads.tiktok.com/help/article/spark-ads
よくある質問
UGCツールとは何ですか。
SNSやレビューサイトなどに投稿されたUGCを、集める・使う許可を得る・自社サイトや広告に載せる・効果を分析する、といった作業を支援するツールの総称です。製品によって得意な機能が異なるため、機能の種類で分けて比べると選びやすくなります。
UGCツールを入れれば投稿は増えますか。
ツールの多くは、すでにある投稿を集めて使う作業を効率化するものです。投稿そのものが少ない段階では、同梱物での案内やレビュー依頼、クリエイターへの依頼など、投稿が生まれるきっかけを別に用意する必要があります。
ツールで集めた投稿は自由に自社サイトに掲載できますか。
公開されている投稿であっても、企業が自由に使ってよいわけではありません。投稿者から利用先・期間・編集の可否などの許諾を得てから掲載します。ツールに許諾を依頼する機能があっても、許諾の範囲をどう定めるかは企業側で決める必要があります。
依頼して作ってもらった投稿も同じツールで管理できますか。
管理できる製品もありますが、自然発生の投稿と依頼した投稿は扱いが異なります。依頼した投稿は広告にあたるため、掲載時の表示や許諾の条件を分けて管理できるか、タグや項目で区別できるかを確認します。
UGCツールの比較で最初に確認すべき点は何ですか。
自社がどの作業に時間を取られているか、どこで使いたいかを先に決めることです。そのうえで、対応している媒体、取得できるデータの範囲、許諾の記録方法、掲載先との連携、データの出力方法を順に確認します。
この記事は「インフルエンサーマーケティングとは?始め方・費用・効果測定」の関連記事です。
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